脂肪酸トリグリセリドのケン化
   
オリーブ油の主成分のオレイン酸トリグリセリドを例にとって
苛性ソーダで加水分解され脂肪酸石鹸ができる過程をアニメ化しました。
中画面 動画(AVI 888kb)
小画面 動画(AVI 388kb)
便宜上、オレイン酸の並び方は直線にしています。
ナトリウムイオンや水酸イオンなどのイオンの表示は省略しています。
グリセリンの構造は平面で直線的に表示しています。
ナトリウムは始めからイオン状態で表示しています。
厳密な反応過程図ではありませんのでクレームお断り♪
訂正:オレイン酸の二重結合のところの水素が左右一個づつ消し忘れでした。時間があったら直しておきます。
ケン化が終了した石けんの成分はどうなっているのでしょうか?

オレイン酸トリグリセリド

オレイン酸ジグリセリド

オレイン酸モノグリセリド

オレイン酸ナトリウム(石けん)




グリセリン
 上のアニメではオレイン酸トリグリセリド(「トリ」は3を表し一つのグリセリンに3個のオレイン酸がくっついている分子のことです)に苛性ソーダ水を加えて撹拌すると、油脂(この図ではオレイン酸トリグリセリド)のエステル結合(脂肪酸「この場合はオレイン酸」とアルコール「グリセリン」との結合のことです)の部分が順次分断されて(これを加水分解と言います)、マイナスイオンになっているオレイン酸側にはプラスイオンのナトリウムイオンが結合して、オレイン酸ナトリウム(石けん)ができ、グリセリン側の一つの官能基がプラスイオンの状態になり、そのおいたところに水酸イオン(マイナスイオン)がくっつき、この状態では1分子のオレイン酸ナトリウムと、1分子のオレイン酸ジグリセリド(「ジ」は2を表します)が生まれます。
 さらに次の苛性ソーダ水がオレイン酸ジグリセリドに接触してくると同じように反応が生じて、さらにオレイン酸ナトリウム1分子が生まれ、オレイン酸ジグリセリドはオレイン酸モノグリセリドになります。
 このような反応が続いていけば、最終的には3分子の水酸化ナトリウムと1分子のオレイン酸トリグリセリドから、3分子のオレイン酸ナトリウム(石けん)と1分子のグリセリンが生じます。

 ただしこれは、オレイン酸トリグリセリドの数の3倍の数(重さでは有りません分子の数です)の水酸化ナトリウムが100%反応した場合の結果です。 私たちが作っている固形石けんはディスカウント率(**%ofで表記している分です)5〜15%くらいが大半ですが、これだと水酸化ナトリウムの数が足りなく、オレイン酸トリグリセリドが最後まで加水分解されない分子が出てきます。
 さらに撹拌(グルグル=手作り石けん専門用語?)の仕方によってや反応させるときの液の温度やオプションとしての油脂の投入の仕方などで、完全に加水分解する分子と中途で加水分解を終わらせてしまう分子とが出てきて、結果として左の図のそれぞれの状態の分子がある割合で存在することになります。当然その割合の違いで石けんの性質は違ってくるわけで、泡立ちや洗浄力などの他にも、洗い上がりの感覚も違ったものになるでしょう。

 分析したわけではないので、推測で書くのですが、グルグルが弱く時間も短い場合は、加水分解の中間体(オレイン酸ジグリセリド・オレイン酸モノグリセリド)が少なく、ブレンダーなどでしっかりとグルグルした場合は、オレイン酸モノグリセリドの割合が多くなっているのではないでしょうか。

 ただしいずれの場合でも、生成される石けん(オレイン酸ナトリウム)の数は同じです。グルグルの仕方によって、大きく差が出るのは、元の油脂とグリセリンの数になります。同じレシピで作った石けんなのに「ちがう〜」と言う石けんが出来るのは、出来た石けんの成分の中で、未反応の油脂(トリグリセリド)、ジグリセリド、モノグリセリドの割合が違うためと、こういうことなのではないでしょうか。